天然岩石や砂の採取も制限されています!
沖縄県において、漁業権が設定されている海での岩石(
天然ライブロックを含む)や砂の採取は、制限されています。
【6月以下の懲役/10万円以下の罰金】また、渡嘉敷島を含む慶良間諸島海域一帯は、漁業権外の区域でも漁業関係以外の法律によって採取は制限されています。
「海岸」の土石(砂、サンゴれき等を含む)の採取についても制限があります。
詳しくは下記の海岸管理者にお問い合わせ下さい。
○ 沖縄県土木建築部海岸防災課 TEL: 098-866-2410
https://www.pref.okinawa.jp/site/doboku/kaibo/kaigan/kaigankanri.html
(海岸に漂着した砂やサンゴのカケラ等についてのページ)
ライブロック(Live rock)とは
天然ライブロックとは、さんご礫のかけらやサンゴの死がい等に、藻類や微生物等が付着したものを言い、海にあるサンゴ礫や岩など全てこれにあたります。(採取禁止)
養殖ライブロックとは、擬岩(人工物に限る)の表面等に藻類や微生物等を付着、増殖させたものを言います。

ライブロックは、魚などの住処や水質の安定などのために役立っています。
養殖ライブロックの一例
 | 養殖前
擬岩にタグやラベルが付いています。
タグの裏側には通し番号が記載されています。 |
 | 養殖後
藻類や微生物が活着しています。
また、漁協が発行した養殖証明書が添付されます。
※ ライブロックを購入する場合は、適正に養殖されたものかどうか、販売先に確認して下さい。 |
造礁サンゴ類の採捕等の禁止について
採捕とは、自然状態にある水産動植物(死骸も含む)を採取・捕獲する行為をいいます(養殖されているものを収穫するなどの行為は含まれません)。
沖縄県漁業調整規則では、下記の事項は禁止されています。
● 造礁サンゴ類の採捕
- 海中において自生しているものは、採捕が禁止されています。
岸壁、消波堤、ロープ、鉄筋、基盤等に自然に付着し、生育しているものも含まれます。ただし、養殖されているものは除きます。
- 折れて海域に落ちているもので(生死は問いません)、原形をとどめているもの(砂状、れき状、石状等の死サンゴは除く)も採捕禁止です。
- サンゴの死骸(骨格)も採捕禁止です。
- サンゴの卵自体は対象外ですが、卵の付着した基盤等は、天然的状態にあるとみなすことができますので、採捕禁止です。
● 違法に採捕したサンゴの所持、販売は禁止されています。
ただし、大学、公的機関及び民間の調査会社等が行う試験研究や教育実習を目的としたもの、また、増養殖用種苗の供給のための採捕については、県は、その実施内容を審査した上で、特別に採捕を許可することができます。
● サンゴの移植(植え付け)について
現在、県内で行われているサンゴの移植(最近は、植え付けとも呼ばれています)には、養殖されたサンゴが用いられています。移植のために、天然のサンゴを採捕することは、試験研究に該当しません。また、教育実習が目的であっても、天然サンゴにダメージを与え、移植する行為は、本末転倒であるためできません。(参考:
サンゴ移植マニュアル)
● サンゴを購入する場合には
天然のサンゴは購入することができません。養殖されたサンゴであること(人工物の基盤やタグがついています)、また、漁協が発行する養殖証明書も併せて確認してください。
● サンゴのかけらの利用について
海岸に落ちている原形をとどめていないサンゴのかけらの利用については、水管理・国土保全局所管(海岸防災課 098-866-2410)へ問い合わせてください。
ただし、国立公園である
渡嘉敷島では全ての自然物の採取が許可されていません。したがって浜辺のサンゴの死骸等も採取しない、持ち帰らないでください。
● サンゴ礁の保全について
最近はサンゴの移植(植え付け)やサンゴ群集修復のための技術開発が行われていますが、サンゴを保全するには、これらの方法以外でサンゴ礁を保全していくことも重要です。
皆さんで意識をもってサンゴの保全に努めてください。
・農地や開発地等から赤土を流出しない・させない
・保護すべき海域を定め、オニヒトデを駆除する
・遊泳時や釣行時にサンゴを傷つけない
・紫外線吸収剤、カンファー抽出物、桂皮酸、ベンゾフェノン、パラペンなどの
成分の多い日焼け止めを使わない(白化現象の原因になる可能性が高い為)
サンゴのあれこれ
イノー(礁池)に広がるテーブル
潮の満ち干は毎日2回ずつ、暑い日も寒い日も、休まず繰り返されます。
浅い場所では、サンゴの群体が高く成長していくと、干上がる時間が長く空気中にさらされ続けることがあります。水面に出ると、日当たりが強く温度が高かったり、乾燥することもしばしばです。
そのような理由で、浅瀬にすんでいるサンゴではある程度成長するとそれ以上成長できない限界の高さに達します。その限界の高さでサンゴの群体が切り取られたようになっているのが分かります。
しゃがみ込んで横から見ると、他の群体も同じ高さで切り揃えられたようになっています。このような群体をマイクロアトール(小さな環礁<かんしょう>)といいます。アトールとはサンゴ礁の典型的な地形で、ドーナツ形をして真ん中に池を残した島のことです。
島の海岸にサンゴ礁が発達する段階は大きく3つに分けられ、島の縁に少しくっついた珊瑚礁が裾礁(きょしょう)、ボートが通れる程の水路が陸との間に広がっているのが堡礁(ほしょう)、そして環礁(かんしょう)です。最もすすんだ状態が、このアトール(環礁)地形だと考えられています。
このサンゴ礁の分類を最初に行ったのは、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンです。
満月の夜の神秘
サンゴが子孫を増やすときは、卵や精子あるいは幼生を放出します。
放出の時期は5月〜7月の満月の前後で、申し合わせたように卵や精子、幼生の放出を行います。3〜4日の期間中に多くのサンゴが日没後しばらくすると、一斉に放出を行います。
午後9時頃から深夜2時頃まで観察できました。(平成9年の6月の観察による)
一斉に行われる放卵放精や放精放出は彼らにとってどのような利点があるのでしょう?
それは、大量にかつ同時に放出を行うことにより、外敵から生き残る確立を高めているものと考えられます。
モズク養殖の縄張りに使った鉄筋が、海中に忘れ去られたところがあります。
その鉄筋には、サンゴがついていてよく成長していることがあります。ハナヤサイサンゴやミドリイシの仲間が多いようです。
もちろんサンゴの群体が泳いできたはずはありません。サンゴの赤ちゃんであるプラヌラ幼生が鉄筋に定着したのです。潮通しや日当たりなどの好条件が重なって大きく成長したのです。夏の初めの繁殖のときに出てきた幼生がしばらく海水中を泳ぎ回ったのち運良くたどり着いたのです。
驚くほど成長したサンゴたちは水中で行われるポット栽培かと思うほどです。
サンゴの移植について 〜サンゴを切り取って別の場所で育てる〜
サンゴを増やすひとつの方法として、サンゴの技など群体の一部を別の場所に固定して定着させることがあります。定着がうまくいけば、おおきな群体にまで成長させることができます。ちょうど、植物で行う「押し木」と同様です。
どうしてそのようなことができるかは次のような理由からです。
それは、サンゴ群体のひとつひとつの穴に一固体ずつのポリプが生きています。そのポリプを移動させて増やしていくことで、遺伝的に全く同じクローンを増やしていくことになるのです。
実験的には水中ボンドを用いて直接岩礁にくっつけたり、クギなどに針金で結びついたり、いろいろな方法が試されています。
自然状態でもサンゴが壊されてしまうことはよくあります。
例えば、台風や強い波、他の生物の影響で、群体の一部がこわれてしまっても群体全てが死ぬとは限りません。こわれたサンゴ群体のかけらがたどり着いたところが生育に適していれば幸運です。そこで生き続け、大きな群体に成長することも十分に期待できます。
サンゴは移植が可能ですが、成長が遅く、微妙な環境の変化に大きく影響を受けます。
移植で群体を増やすことができても、その成長過程は容易ではないのです。
群体を折ったり傷つけないように気をつけて、ダイビングやシュノーケリングを楽しみたいものです。